サンティアゴ・デ・コンポステーラ。巡礼のひとり旅inスペイン(2)
2018年4月、スペインのカミーノ・デ・サンティアゴを112km手前からただただ歩いたひとり旅、2回目。
こんにちは、未季です。
1日目の夜はポルトマリンに泊まった。
この街は周囲の半分ほどが一本の河に囲まれている。ダム建設により元の街は貯水池の底に沈んだ。河に掛かった長い橋を渡り切るとすぐ坂になっていて、階段を上がった先には教会がそびえ立ちその門をくぐって小さな街に入る。
その様はあたかも壮大なロールプレイングゲームの始まりの街に立っているようで胸が高まった。
ロクに睡眠も取らず約20kmほど無心に歩き、私の精神は一時悟ったかのような気分だった。
景色スバラシイ、空気キレイ、疲レココチイイ、アルク、ノボル、クダル…と延々ぐるぐると感じながら進んでいると割と近くに無を感じることができる。
私の社会の窓は気持ちよく開放されて、ともすれば誰とでも肩を組んで我が友よとしてしまいそうだ。
しかし初日のフィニッシュとして上出来なロケーションを味わった辺りから雲行きは怪しくなった。小さな街なのだがのどかすぎて道と人ん家の敷地の区別がつかず宿が探しにくい。私はかつて月極駐車場の端に腰掛けて飲んでいたらその土地主に恫喝され、うん十万をふっかけられたことがあるので慎重だ。
ちょっぴりトラウマを思い出し分かりやすい安全な道だけをぐるぐると歩いたがなかなか着かない。
次第にウォーキングによる脳内幸せホルモンの効き目は薄まっていくのを感じた。
さすがは小心者の旅、肩を組むにはまだまだハードルが高いのだよ。
結局小さなメインストリートで右往左往していたところ、偶然声を掛けてくれた日本人の学生さんに助けられて無事辿り着けました。
アルベルゲ・デ・ポルトマリン(公営)
Albergue Público De Portomarín 27170, Travesía Lugo, 4, 27170 Portomarín, Lugo, スペイン https://goo.gl/maps/7kyYDqP59NtxWJUw9
スペインに留学中の学生さんたち、こんな外国の片田舎で道向こうからいきなり「こんにちはー!」と言われてリアル空耳を疑った。
あっけらかんとした親切さが有り難く、疲れた体に沁みたよ。
この巡礼路にはアルベルゲという巡礼者のための宿が点在している。
公営のアルベルゲは2段ベッドがずらりと並び共有スペースでくつろぐゲストハウスのようなところが多い。
値段は安く(当時5€)一人でも宿の使い方は誰かの真似をすればいいので楽ちん、小さな出会いも少し期待して基本はアルベルゲ泊を予定していた。
ラッキーなことに先の学生さんが同じアルベルゲだったので言葉を教えてもらいながら数人とおしゃべり。
フランス人の15歳の少年はなんのだか分からない50歳代の師匠と二人で800km巡礼した帰りで、その道も歩いて行くのだと言った。誰もフランス語が分からず、彼は英語とスペイン語が分からないが一生懸命に絵に描いて話した。一生懸命すぎてなかなか終わらせてくれないのには困ったけれど。
歩くことが本当に楽しい。
実際、知らぬ間に心が開いてしまう。
そしてほんの小さな出会いもじんわりと血が通うような記憶として残る。
ポルトマリンまでの道中、私は熟年の男性二人組といつからか抜きつ抜かれつ歩いているのに気づいた。見えなくなったなと思うと不思議とまた前後になっている。
私がそう感じた時には多分彼らも同じだったのだろうか、大きな峠を越えたところで写真を撮ってあげようかと声を掛けられた。
センキューと一枚撮ってもらう。
せっかくなので彼らもお返しに撮った。聞くとイギリスから来た兄弟なのだと言う。もう一人はほんの少し口もとで笑っただけで何も話さなかった。
その夜、すべての用事を済ませてから入った定食屋のようなところで郷土料理をいただいていると、彼らが入ってきた。
目が合うとほんの少しだけ笑って二人は少し離れた席に座った。そして運ばれてきたワインが届くと、私の方に振り返ってチアーズと言った。
そして、その次の日からは一度もすれ違わなかった。
2日目は唯一の晴れ日。
朝もやの湖。
どこでもこんなに元気よく雨水が流れるのよ…
まだ元気。スタート。
天気よいよ。
らしさ満点だけどゴミだらけ。
さてこれなんだ?
大根でしたー!野性味溢れる植え方!
8kgの相棒はこれ。
今日のアルベルゲの前にはでかい豚。
雨が一滴も降らない奇跡の日でした。
おまけ。朝のbarのかんわいいサビ猫。
ではでは。